アジア(ASEAN)の化粧品市場について
昨今、めざましい発展を遂げるアジア。特に、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポール等のASEAN各国では、女性の『美』に対する意識も変化しています。今回は、そんな『美』の象徴ともいえる化粧品における各国の事情をまとめました。
アジア各国の化粧品市場規模はファンデーション使用率でわかる!
化粧をする際のベースとなるファンデーション。この使用率を比べると、アジア各国の化粧率が見えてきます。
堂々の第一位はやはり日本でした。日本は80%と最も高く、ベトナムが60%、インドが58%と続きました。インドネシアは47%で最下位いう結果になりました。
ファンデーションの使用率だけで見ると、10人中8人が使っているのに対し、インドネシアでは10人中5人に満たないという結果に驚きですね。
アジアの女性は、化粧品は何を使う?
化粧品は大きく分けて、目元化粧品のアイメイクと口元化粧品のリップメイクに分類されます。日本人はアイメイクとリップメイクを両方する人が多いです。
アイメイク製品、口元リップメイク製品の使用率は、67~68%とほぼ同じ割合で利用していることが分かります。一方、アジアでは、インドが日本と近い数値になり、中国(上海)、タイ(バンコク)、インドネシア(ジャカルタ)、ベトナム(ホーチミン)ではリップメイク製品の使用率がアイメイク製品の使用率よりも上回っている傾向になりました。
アジアの化粧品市場で日本企業の勝算はあるのか?
上記の調査結果から、日本の化粧品の使用率を凌ぐ国はありませんでした。
では、日本企業はアジア(タイやフィリピン、マレーシアなど)の化粧品市場に進出して成功することは可能なのか?
アジア各国の女性が化粧品に求めることは様々です。
『品質』『価格』『ブランド』『口コミ』『原産国』の5つの視点から探ってみましょう。
日本は『品質』『価格』が54%と同等に求められていますが、逆にそれ以外の要素はほぼ重視していないという結果になりました。
一方、中国(上海)、タイ(バンコク)、インドネシア(ジャカルタ)、インド(デリー)と多くの国(都市)では『ブランド』が重視されていました。特に上海、デリーでは『価格』よりも『ブランド』を重視するという結果でした。
また、『品質』に関しては、日本以外のアジア各国では一番優先的に重要視されています。
日本では国内企業製品が多い為、品質が安定しており、プチプラコスメなども「安くてよいもの」を安心して購入できる日本では「『ブランド』にこだわらずにコスパを考えて買う。」といった人が多いです。
しかし、アジア諸国では、まだまだ品質の安定しない化粧品が多く出回っているという事もあり、『ブランド』や『品質』という点を重視して購入する“安心”を優先するケースが多いのです。
アジアから見た日本メーカーの化粧品への印象は?
アジアの多くの国(都市)で「自国原産の化粧品を使いたい」という回答が最も多くなりました。しかしベトナム(ホーチミン)は自国の化粧品を使いたいという回答は上位圏外となりました。ベトナムでは化粧品メーカーが少なく、品質も低いことから、そもそもの選択肢にベトナム製化粧品が無くなってしまうのです。
また東南アジア(特にタイやインドネシア、マレーシア)の女性にとって、日本人女や韓国人女性のきめ細かい白い肌は憧れなのです。欧米の化粧品メーカーやブランドと比較しても商品が手に入りやすいのでタイ(バンコク)やインドネシア(ジャカルタ)では日本メーカーの化粧品や韓国メーカーの化粧品が好まれています。
しかしながら、多くのアジア諸国では自国産の化粧品を選ぶという声が一位となっています。自分たちの肌の色や、肌質や気候等に対応しているという点や、低価格という面で自国製を選ぶのです。タイ(バンコク)では、人気の日本メーカー化粧品や韓国メーカー化粧品の値段が高くて購入できない(しにくい)、ということがあります。
したがって、品質が高い日本メーカー商品で価格が各国の消費者に合わせることが出来れば、日本メーカーの化粧品が選ばれやすいということになります。